下町ロケット6話はケンカを売っている?

だが、きっちりと今の農業の現状を示している。いや、暴露しているといってもよいでしょう。
え、こんなひどいことが?いえ、現実なんです。

まず、大学の技術を共同研究だと言って企業が抜き取るお話。これ、事実行われています。もちろん、ドラマのようにあからさまに盗むということは稀ですが、事実上企業に奪われるということは日常茶飯事です。

次にギアゴーストのトランスミッションに関する裏切り。これも日常茶飯事です。したがって、新しく技術や製品を開発した場合には、かならず売り手を複数探しておく必要があります。一社の場合、必ず買いたたかれる格好になるからです。
今回のケースは、せっかく作ったものを捨てることになる形ですが、これは別の買い手(帝国重工)を見つければよいのでダメージにはならないでしょう。

次に農林協(ああ、もうほぼ言っちゃってますね、農協、JAのことです)の問題ですが、ドラマ中の酷いことは間違いなく行われており、すべての職員とは言いませんが、ああいった形で農家に圧力をかける現実があります。
農林共は会員からあれやこれやと会費を取り、さらにお米はランクをつけて安く買いたたいています。いいコメも悪いコメも等級をつけてしまいごっちゃごちゃ、味もごっちゃごちゃなのです。殿村氏に言い寄ってきた営農企業はJAとグルですね。美味しいお米を食べるなら、高くても信頼できる自主流通米を探すのが普通なのです。

「米なんて、食えりゃいいの」

という発言は、頑張る農家を冒とくする怒りをかんじる言葉ですが、現実、農林共ではそれがまかり通っています。
その証拠に、新米と古米をミックスして新米として売ったり、等級を混ぜて最上級で売ったり、品種の違うコメを混ぜてコシヒカリとして売ったりした経緯もあります。

因みに農機具を格安で買えるというのは事実です。最近だと、国が、JA向けに安いトラクタを作れ!と代表的なメーカー数社に命令してコンペさせられました。
勝ったのはヤンマーですが、正直、利益も出せず、メンテナンスの手間や将来のことを考えたらありがた迷惑かもしれません。

最後に、営農企業の問題ですが、確かにこれからは営農企業へと農地を集約するしかありません。しかし、本当にプライドのない営農企業は生き残れないと思った方がよいでしょう。
なぜなら、今後、お米も工業製品や自動車のように、真に品質競争が始まるからです。例えば、自動車メーカーは日本にも雨後の筍のようにできた時代がありましたが、ダメな企業はどんどんつぶれたり吸収されたりしました。
まだ、営農化は始まったばかりですが、今後はプライドのない、努力しない、もうけばかりを求める農林共と一緒に楽して稼ごうとするような企業はどんどん淘汰されていく運命です。

我々消費者は、そうした営農企業に騙されないように、しっかりと品質を見極めて農産物を買わなければならない。営農化だけでは日本の農業は救えません。そうしなければ、日本の農業の未来はないと言えるでしょう。

たった1回の放送ですが、この下町ロケットの第6回はこんな問題提起をしてくれているわけです。

 

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